2013年2月19日火曜日

夢見る力 Kバレエカンパニー シンデレラ イベント #100




先日、TBSにて開催された Kバレエカンパニー 「シンデレラ」のイベントにお邪魔し、
アナウンサー安東さん司会のもと、ゲストの松岡梨絵さん(プリンシパル)、宮尾俊太郎さん(プリンシパル・ソリスト)
そして、衣裳製作の林なつ子さん(工房いーち)のお三方のお話しを聞かせていただいてきました。
記念すべきブログ100投目にこんな素敵な記事が書けてウキウキ★
誘ってくれたkitajikoさんに大感謝です。


はじめ30分ほどのダイジェスト映像を見て世界観をしっかり味わいます。
正直、バレエでシンデレラで、ってどうなのかな~?と思っていたのですが、
ダイジェストを観ているだけでもワクワクする世界。
誰もが知っている「シンデレラ」のお話に、熊川流の演出ならではでの豪華な衣裳、舞台装置、
とにかくすべてがキラキラしていて、夢のよう。すでにダイジェストなのにすっかりうっとり。

そしてその後、ダンサーのお二人が登場。


今回の「シンデレラ」という演目に対してどういう思いなのでしょうか?

松岡さん:シンデレラは心が温かくて、けなげ、でも芯が強いと思います。
役づくりでは他のキャストとは違う自分のシンデレラを務めるように心がけています。
特に二幕目のシンデレラが引き立つように、一幕目のいじめられている演技を大切にしています。
その点に関してはディレクター(熊川さん)からも指摘があったので。

宮尾さん:この「シンデレラ」というお話は王子のフォーカスが全くないので、
ある意味「ザ・理想の王子さま」像にならなくてはならないという点においては、とてもむずかしいです。
初演の映像をみたらひどいもので、もっとうまく演じられるように努力したいです。

「シンデレラ」ここを観て欲しい!!という見所は。

松岡さん:カーテンが開いてからすべてが見所です。
おとぎ話に忠実で、まるで絵本が開いたような世界です。そこをみてほしい。
また、プロコフィエフの音楽に合わせて演技するのが本当にむずかしく、
すこしでも音と踊りが違うと熊川さんに指摘されてしまいます。
そこもみてもらいたい箇所です。

宮尾さん:正直、僕を観て欲しいです(笑)
この「シンデレラ」というお話自体が世界観がつくりあげられているので、そこが難しいですが
演出、舞踊、技術のレベルの高さはまさに熊川ワールドです。
ところどころコメディ要素も入っていているのもKバレエカンパニーならでは。
シリアスなシーンが続くと疲れてしまうのでそこで、お芝居の緩急がついていて観やすく、総合エンターテイメントらしくできています。

「客席から笑い声が聞こえると嬉しいですね」

ここで、K-BALLETのカンパニー衣装の制作を、カンパニー旗揚げから担当されている
林なつ子さんが登場。
わたしのカメラだと本当に上手に撮れてないのですが、とても朗らかでやさしそうで素敵な林さん。
林さんは、K-BALLETの他、新国立劇場バレエ団、新国立劇場のオペラの衣装なども制作されております。



熊川哲也さんの作品の衣装は、ロイヤル・バレエなどのデザインも担当されているヨランダ・ソナベントのデザイン。
林さん: ヨランダは絵描きさんなので、彼女の絵は写実的な絵ではなくなかなかないデザイン、発想のものが多いのです。
熊川さんも大変気に入っています。私は『シンデレラ』で5作目で、いつもその絵を見て具現化することにはとても苦労してきましたが、
衣装ができた時には面白いです。

彼女は、普通の生地をそのまま使わなくて、全部ムラ染めをします。
業者さんはできないので、普通のガスコンロにかけて手作業で染めています

とにかくバレエの衣装というのはダンサーをきれいに見せなければなりません。
シンデレラ役の衣装は、1幕では「なんてかわいそうなの、こんなのを着せられて」
そして2幕で変身した時にはお客さんをあーって思わせないといけません。
『シンデレラ』の衣装の枚数はおよそ150着ですが、『白鳥の湖』よりは少ないです。
一つ一つ、ダンサーそれぞれの寸法に合わせて違っていて1着1着オートクチュールのように作っています。
シンデレラ役は4人いて、K-BALLETは昼夜公演もあるので過酷だし、
汗でびしょびしょになってしまうので使い回しではなく一人一人に合わせて製作しています

ヨランダさんのスケッチ。





原作では四季の精がでてくるところが
シンデレラの家にあるものが妖精になってでてくるところがKバレエカンパニーのオリジナル。
松岡さん:わたしこの演出すごく好きなんです。急に四季の精がでるよりも
いつもシンデレラを見守っている物たちの妖精のほうが、より自然な気がするから。




舞台の衣裳は遠くから見て「それらしく」見えるのが舞台衣裳というもの。
近くから見たらもう「見ないで!」という感じ、という林さんに
「えーでもすごくきれいですよーー」と宮尾さん。
自分達は裏方だからボロボロになってもダンサーさんが衣裳を着て何千人の前に出たとき
モチベーションがあがるようにと、精神状態も考えています。
色が思ったとおりにでるようにライティングも考えたり、人によっては腕がキツイとリフトが疲れるとか
要望も取り入れながら作っていますが、基本は熊川さんがコレ!と言ったら
きつかろうが、重かろうがそれを着て踊る、という感じです。
(熊川さんがピッチリ好きだもんね、とみなさん)
「ごまかすとすぐバレてしまうの。熊川さんの目は確かだから」
松岡さんも宮尾さんも「自分はほんとはタイトなものは苦手なんだけど」と苦笑い。

とにかくシンデレラがかわいそうな衣裳から、魔法使いにキラキラーと魔法をかけられて
金のシンデレラがでてくるところはみんな鳥肌がたったくらい。熊川さんも絶賛だったの。
そこはぜひみなさんに実際に観て欲しい!と林さん。

最後に

松岡さん:DVDでも観られるけれどぜひ生で観てもらいたい絵本のような舞台です。
宮尾さん:美しい衣裳、美術、音楽。その一瞬、一瞬を見逃さないで欲しい
林さん:こんな殺伐とした時代だからこそこの美しい舞台を観て欲しい。


舞台は大好きだけれど、セリフのないバレエはあまり観たことのないズブズブの素人のわたし。
難しい用語が飛び交ったらどうしよう・・・と久しぶりに緊張しながら挑んだイベントでしたが(大げさ)
とても和やかに話しは進み、表に立つダンサーさんのお話、それを支えている衣裳さんのお話を
伺うことができて、本当に楽しく、興味深い時間でした。

わたし個人的に、シンデレラって絶対わざと靴落としてきたよねーみたいな。
絶対無垢な顔をしながら計算高い女子だよ、とおもってきたのですが、
そういえば、こんなわたしでも子供の頃、
ディズニーランドで買ってもらった飴が入ったガラスの靴を毎日見つめていたことや、
「夢を見続けていればきっと叶う」と信じて疑わなかった頃があったことを思い出し
なんだか自分汚れちまったなあ、とおもわせられました。

また、そのガラスのハイヒールのイメージが強くて、なんとなくシンデレラは「受身」的姫だと思っていたのが
このバレエでは当たり前だけれど「ガラスのトゥシューズ」。
短いスカートでガラスのトゥシューズを履いて踊るシンデレラはなんとなく躍動的で
不思議な感覚に陥りました。

舞台に立とうだなんて、そんな無謀なことはさすがに思わないけれど
それでも舞台の側にいたくてレセプショニストのアルバイトをしてた頃。
林さんがおっしゃっていた「魔法にかけられたように、この仕事にはまって一筋」
その気持ちわかるなーと心から思ったし、実は新国立劇場でも働いていたので
そこに飾ってあるオペラの衣裳をいつもみてはワクワクしながら劇場にはいっていた私にとって
林さんは神でなくて、なんなのでしょうか、という感じでした。

確かに、こんな時代だから。子供みたいにキラキラした気持ちをたまには思い出して。
そしてまた明日に向かって頑張ろう。
そんな気持ちにさせてくれるのがこのKバレエカンパニーの「シンデレラ」
野暮は言わないで、素直な気持ちで、絶対観るべき!!


2013年3月6日(水)~10日(日)
Bunkamura オーチャードホール

【公演に関する詳細】http://k-ballet.co.jp/
【お問い合わせ】Bunkamura 03-3477-3244 (10:00~19:00) http://www.bunkamura.co.jp

チケットのお取り扱いはコチラ

miyuki




















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